働き方改革の一助に

私は7年間、研究助成を受け「乳がん患者の治療と就労の両立」について研究を重ねてきました。研究は、ある県のがん拠点病院で、乳がん認定看護師と専門医の協力を得て行うことができました。

患者さんひとり一人のインタビューは、時に勇気づけられ、時に運命に涙しながらのインタビュー調査でした。感情移入してしまうことは、実は調査ではあってはならないことですが、共に涙を流したあとのスッキリ感と沸き起こる勇気は、代えがたいものがありました。単なる調査でのインタビューではなく、患者さんと私は共に治療的な介入をしあっていたのかもしれません。

先日、その結果を報告書にまとめ、病院を訪れました。7年間の研究の結果について報告をしたあと、検討会を行いました。そのなかで、「病院側から会社に、患者さんの病状や支援を産業保健スタッフに伝えても今ひとつ思うような介入につながらないようで、結局、患者さんは病院スタッフのところに相談に来られる。相談に来られるのは構わないが、我々が労働の様子を知っているわけじゃない。病院スタッフは仕事を詳しく知らないので、治療と仕事の両立には会社側の産業保健スタッフと連携がなくては適切な支援は難しい」という話が出ました。

厚生労働書のサイトには、「働き方改革」とは、の説明が記載されています。働き方改革とは、働く人の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにするものであるとされています。適切な支援のためには、会社の産業保健スタッフが、病気と最新の治療、治療が及ぼす患者への負担、治療と仕事との両立における支援について、より多くを学ぶ機会があればよいと思いました。

患者さん第一の熱血乳がん認定看護師と、腕もハートもピカイチの優しい専門医の協力を得てさまざまな情報提供ができるとよいなと思いました。
今後、企画をしていきたいと思います。

保健師 新谷