検診結果の重大項目
検診結果をもとに一般保健指導をしている中で、気になる数値は人それぞれありますが、重大合併症を引き起こす原因となる高血圧、糖尿病、脂質異常症の数値は特に注目してみています。
その中でも高血圧は「沈黙の殺人者」とも呼ばれ、自覚症状が不明確な状態で進行し、脳卒中や心臓病など命に関わる病気を引き起こします。
そもそも血圧とは?
血液は全身の細胞に酸素と栄養を供給しています。血液は心臓のポンプ作用によって全身に送り出されていますが、この時の血管の壁に掛かる圧力が血圧です。
●最高血圧
心臓が収縮して血液が押し出されるときの血管に掛かる圧力
●最低血圧
心臓が拡張して次に血圧を送り出す準備をしているときの血管に掛かる圧力
高血圧から引き起こされる合併症とは?
高血圧は心臓肥大(強い力で血液を全身に送り出すため負担が掛かります)や動脈硬化(血管の壁に強い力が掛かるため血管を傷つけます)を引き起こします。
その心臓肥大や動脈硬化から、
●心不全
●脳の血管
脳出血、脳梗塞
●心臓の血管
心筋梗塞、狭心症
●腎臓の血管
腎不全、腎障害
が引き起こされます。
それらを予防するためには、まず自分の血圧値を知る必要があります。
家庭で血圧測定を!
診察室で測る血圧よりも家庭で測る血圧の方が信頼性が高いと言われています。そのため、高血圧の診断では家庭血圧が優先されます。
家庭血圧を正しく測ろう
●上腕血圧計を選ぶ
●朝と晩に測定する
朝の測定:起床後1時間以内 朝食前・服薬前
晩の測定:就寝直前
●測定前に喫煙・飲酒・カフェイン摂取をしない
●トイレを済ませ、静かな適温の部屋で1~2分椅子に座ってから測定する
●カフの位置は心臓の高さにし、測定中は会話をしない
●1機会原則2回測定し、その平均をとる
●週に5日以上測定した結果を主治医に見せましょう
生活習慣を改善して血圧を下げよう!
●高血圧の人は塩分6g未満に
1日摂取目標は健康な男性は8g未満・女性は7g未満です。
塩を多くとると血管内の細胞に水分を取り込み血液の通り道を狭くして、血管が刺激に敏感になり収縮しやすくなって血圧を上げます。
●野菜はたっぷり、果物は適量に
野菜や果物に多く含まれるカリウムは食塩の成分で血圧を上げるナトリウムを腎臓から排出してくれます。
果物は糖分が多いので摂りすぎに注意が必要です。
●肉より魚を多く
魚に多く含まれる油EPAや、DHAなどには血管を守る効果があります。
●軽い運動を生活リズムに
運動は血圧を上げるホルモンの分泌を減らし、血圧を下げるホルモンの分泌を増やします。全ての生活習慣病予防のためにも、毎日30分以上行うことを目標にしましょう。10分以上の運動で合計して1日30分を超えれば良いといわれます。
●お酒は適量に
飲酒習慣は血圧を上げる原因になります。適量を守ると1~2週間で血圧を下げる効果があるとされています。
●禁煙しよう
喫煙は血圧を上げます。1本のたばこを吸うと血圧上昇が15分以上続くといわれています。喫煙はがんや脳卒中、虚血性心疾患などの強力な危険因子でもあります。
●体重を適正に保とう
太ることによって、血圧を上げる悪玉のホルモンが分泌されます。肥満の人はBMI25を目標にしましょう。目標に達しなくても体重の5%の減量で血圧を下げる効果があります。
自分の血圧を知り、高血圧を予防・改善していきましょう。